国内の電子実験ノート(ELN)5選を徹底比較|研究現場で選ばれる国産の理由とは?

国内の電子実験ノート(ELN)5選を徹底比較|研究現場で選ばれる国産の理由とは?

国内で開発されたELNは、日本語対応はもちろん、研究現場に合わせたUI設計や法的有効性にも配慮されており、海外製とは異なる強みがあります。この記事では、「どれを選べばよいか分からない」という方のために、国産ELNの選び方とおすすめ5選を徹底比較

導入を検討中のラボ責任者・大学研究者・民間企業の技術部門の方に役立つ内容をお届けします。

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目次

国産の電子実験ノートとは?海外製との違いを解説

国産の電子実験ノートは、日本の研究現場に特化して開発された記録ツールです。海外製と比べ、言語・法制度・操作性などで高い適合性を持ち、導入後のサポート体制も充実しています。

国内の研究環境に最適化されたUI/UX

国産の電子実験ノートの多くは、国内の研究者にとって使いやすいUI/UX設計がなされており、操作に迷わずスムーズに導入できるのが特長です。特に化学や生物などの分野においては、実験ノート特有の図表や手書きメモの取り扱いが重要になりますが、そうした記録方法にも柔軟に対応しています。

たとえば以下のような特長があります:

  • 直感的に操作できる日本語インターフェース
  • ラボ業務の流れに沿った入力テンプレート
  • 紙ノートのスキャンにも対応したOCR連携

これにより、紙の自由さとデジタルの利便性を両立しながら、現場に定着しやすい記録スタイルが実現されています。

法的有効性や日本語対応の安心感

日本では、労働安全衛生法に基づき、化学物質のリスクアセスメントの実施が義務付けられています(厚生労働省のガイドラインを参照)。このように、国内法令に対応した機能を備えていることは、導入の際に非常に重要なポイントとなります。

また、導入時のマニュアルやサポートがすべて日本語で提供されるため、トラブル時にも迅速に対応が可能です。海外製ツールにありがちな「英語対応のみ」「時差によるサポート遅延」といった不安要素がなく、研究現場にとって安心して使い続けられる環境が整っています。

海外製との価格・導入体制の比較

電子実験ノートの導入を検討する際、価格やサポート体制の違いも重要な比較ポイントです。国産と海外製では、初期費用・月額料金・導入のスピード感に大きな差があります。

以下の表は、一般的な違いを整理したものです:

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項目国産ELNの特徴海外製ELNの特徴
月額費用5,000円〜20,000円程度月$50〜$150(為替の影響あり)
導入スピード1〜3週間でスタート可能2〜3か月かかることも多い
サポート体制日本語対応、電話・訪問あり英語のみ、時差ありのメール対応
契約形態柔軟なプラン(年契約・月契約)年契約ベース、条件交渉が必要な場合も

コスト面だけでなく、スムーズな導入や日本語サポートの有無といった点でも、国産ELNには明確な優位性があります。

電子実験ノート(ELN)比較|国産おすすめ5選

それでは、国内で利用可能な主要な電子実験ノートをご紹介します。
それぞれの製品が持つ強みや特徴を比較し、自組織に最適なツールを見つけるための参考にしてください。

Jikken Note|紙ノートの良さを活かす、手書き対応クラウドELN

Jikken Note|紙ノートの良さを活かす、手書き対応クラウドELN

引用元:https://jikken-note.com/

Jikken Note(ジッケンノート)は、紙ノートでの記録習慣を活かしつつ、検索性・共有性・再現性を飛躍的に向上させるクラウド型の電子実験ノート(ELN)です。スキャンした手書き文字を高精度OCRで読み取り、全文検索が可能。mol→gの自動換算、タイムスタンプ記録、アクセス権限の管理など、日々の研究活動を支える機能が揃っています。

コメント機能や検索タグ、クラウド共有にも対応しており、複数人での共同研究や記録の標準化にも有効です。全機能が日本語対応で、化学物質のリスクアセスメント機能も搭載。無料トライアルも提供されており、化学・生物系の研究室や大学など、日本国内の研究現場での利用を想定した設計が特長です。

また、国内初の「化学物質のリスクアセスメント機能と一体型の電子実験ノート」です。
大学等環境安全協議会 実務者連絡会リスクアセスメントWebアプリプロジェクト」の成果を元に、国内の有識者の監修の元、開発されています。

➁NEXS|試験・分析業務に強い!汎用性と柔軟性を備えた国産ELN

NEXS

引用元:https://labinformatics.jp/NEXS/

NEXS(ネクサス)は、西川計測株式会社が提供するWebアプリケーション型の電子実験ノート(ELN)です。研究開発や品質管理など、現場の試験・分析業務に特化して設計されており、直感的な操作性と高い汎用性が特長です。自由なノートレイアウトに加え、手書き・音声・動画・画像・表計算など多様な入力形式に対応。既存の試験機器やシステムとの連携機能も標準搭載し、データの一元管理と活用を支援します。

セキュリティ面では、ユーザー権限管理や監査証跡機能をはじめ、GxPや21 CFR Part11といった規制にも対応可能。製薬・化学業界など、高い信頼性が求められる現場でも安心して導入できます。クラウド/オンプレミスどちらにも対応し、柔軟なカスタマイズ提案も可能なため、業務に合わせた最適な運用が実現できます。

③OpreX Informatics Manager|研究〜品質管理まで統合する“多機能ELN”

OpreX Informatics Manager

引用元:https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-and-services/life-science/oprex-informatics-manager/

OpreX Informatics Managerは、横河電機が提供する多機能型の電子実験ノート(ELN)です。研究開発(R&D)だけでなく、品質管理・品質保証部門や生産現場とのデータ・文書連携を可能にし、研究の枠を超えた“部署横断型の情報統合”を実現します。プロジェクト・タスク・文書・人材・機器などあらゆる要素を一元管理し、リソース配分やスケジュール管理も支援。タブレット入力やWord/Excelとの連携、多言語対応、ダッシュボード、テンプレート標準化機能なども搭載しています。
さらに、データレークやAI連携による解析、国際規格(ASTM1578-e18)や医薬コンプライアンスにも対応し、厳格な法規制環境でも導入可能。SaaS提供・Webアプリ対応で拡張性にも優れ、ラボオートメーション基盤としても機能します。

➃LabHub|化学計算と実験管理を統合する次世代型プラットフォームELN

LabHub

引用元:https://www.linkx.dev/pharmatech

LabHub(ラボハブ)は、複数の化学計算ツールと実験データの管理・共有を一体化した、ファーマテック(LiNKX提供)の次世代型プラットフォームです。RDKITやPsi4などの科学計算エンジンをはじめ、ノード型ワークフローによる実験プロトコルのデジタル化に対応し、属人化しがちな研究手法の標準化と継承を支援します。研究者は、実験機材や外部データベース(ELN・LIMS・SDMS)と連携しながら、計算から記録、共有までを一つの環境で完結できます。

また、プロジェクト単位でのデータ管理、アクセス制御、コメント機能、データのアーカイブ管理も可能で、チームでの研究にも適しています。さらに、独自開発のハードウェア連携により、フルラボオートメーションの構築支援も提供。化学研究や創薬、材料開発の分野において、高度な再現性と効率を求める研究現場に最適なELNです。

➄Taisei Research Note|手書きもできるクラウド対応の研究ノートアプリ

Taisei Research Note

引用元:https://www.taisei-rika.co.jp/trn/

Taisei Research Noteは、クラウド上で研究記録を効率的に管理できる電子実験ノートです。テキスト入力、図表の挿入、手書き描画、PDF出力などに対応し、タブレットとペンを使えば紙に近い感覚でスムーズに記録が可能。改ざん防止のログ機能により、記録の信頼性も確保されます。

さらに、キーワード検索やテンプレートの使い回し、プロジェクトやグループ管理機能など、研究の効率化を支える機能も多数搭載。個人利用からチームでの活用まで、柔軟に対応できる研究記録アプリです。

一目でわかる!電子実験ノート(ELN)機能・特徴比較一覧表

ここで紹介した製品について、主な機能や特徴を一覧表にまとめました。自組織の要件と照らし合わせながら、最適な製品を絞り込んでみましょう。

製品名主な特徴想定ユーザー層運用形態手書き対応リスクアセスメント機能
Jikken Note手書きOCR、mol→g換算、日本語UI、タグ・コメント共有、リスクアセスメント連携化学・生物・大学・企業の研究者・技術者クラウド型対応(OCR)対応(機能統合)
NEXSGMP準拠、監査証跡管理、改ざん防止機能製薬企業の品質保証・信頼性保証部門クラウド・オンプレ非対応非対応
OpreX Informatics Manager装置データ接続、LIMS連携、ワークフロー管理製造業・工場の技術・分析・生産部門オンプレ型非対応非対応
LabHub柔軟なテンプレート設計、CSVインポート、PDF出力医療・臨床検査・食品分析などの業務従事者クラウド型非対応非対応
Taisei Research Noteタブレット手書き入力、描画ツール、図・文字混在記録、軽量UI大学・研究機関の研究者・学生クラウド型対応(手書き描画)非対応

失敗しない電子実験ノート(ELN)の選び方と比較ポイント

数ある製品の中から、自組織に本当に合ったELNを選ぶためには、いくつかの重要な比較ポイントがあります。ここでは、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないための5つのポイントを解説します。

1. 研究分野との親和性

まず重視すべきは、自分たちの研究分野とELNの特長が合っているかどうかです。

  • 化学・生物分野:反応式の記録、数値演算(mol→g換算など)、手書きメモの活用がスムーズに行えるか。
  • 大学・研究機関:紙文化の継承や研究チーム内の共有など、現場の運用に沿った柔軟な記録スタイルに対応しているか。
  • 企業の研究開発:組織単位でのアクセス制御や、プロジェクト別の情報整理が可能か。

テンプレートや記録方式が固まりすぎていると、実験スタイルにフィットしないこともあるため、「どの程度自由に使えるか」も確認しておきましょう。

2. セキュリティと記録の信頼性

研究データは重要な資産です。安全かつ正確に管理できる仕組みがあるかを見ておきましょう。

  • アクセス権限の設定:メンバーやグループごとに閲覧・編集範囲を管理できるか。
  • 履歴の自動記録:誰がいつ、どの情報を記録・更新したかを追えるか。
  • 記録の改ざん防止:タイムスタンプや変更ログなど、改ざん性を防止する仕組みがあるか。

とくに複数人で使う場合、こうした機能が「当たり前」に備わっているかは大切です。

3. 導入形態と運用スタイルのマッチング

ELNにはクラウド型とオンプレミス型がありますが、どちらが良いというより「自分たちの体制に合うか」が重要です。

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比較項目クラウド型オンプレミス型
導入スピード早い(すぐに使い始められる)時間がかかる(構築と調整が必要)
コスト面初期費用を抑えやすい/月額費用あり導入費は高め/保守は自社で対応
メンテナンスベンダーが対応社内で管理が必要
利用環境ネット環境があればどこでも利用可自社ネットワーク内での使用に限定される場合も

最近はクラウド型の選択肢が増えており、専門のIT人材がいない組織にも適したサービスが登場しています。

4. 操作性と日常業務へのなじみやすさ

いくら機能が豊富でも、使いにくければ現場に定着しません。以下のような視点で見ておきましょう。

  • 直感的な画面構成か:記録・編集・検索など、よく使う操作がすぐに分かるか。
  • 既存のワークフローとの相性:紙ノート派も抵抗なく移行できる設計か。手書きメモの活用余地はあるか。
  • チームでの使いやすさ:コメント、共有、タグなどの整理機能は備わっているか。

初期段階では、無料トライアルやデモ利用で、現場の反応を見ることをおすすめします。

5. サポート体制と拡張性

導入後のサポートがどれくらい受けられるか、今後の運用拡張にも対応できるかも見ておきたいポイントです。

  • サポート体制:問い合わせへのレスポンスや日本語対応の有無、対応時間帯などを確認。
  • 拡張のしやすさ:ユーザー数が増えたときや、新しい研究チームの追加が簡単にできるか。
  • 連携の可能性:データ整理・出力・ファイル管理など、他システムとの連携性も重要。

機能一覧だけでなく、長く使い続けられるかを重視する視点が重要です。

研究現場に最適な電子実験ノート(ELN)導入で、研究開発を次のステージへ|まとめ

本記事では、国内で利用可能な電子実験ノート(ELN)について、その必要性から具体的な製品比較、そして失敗しないための選定ポイントまでを詳しく解説しました。

紙の実験ノートからの脱却は、単なるペーパーレス化以上の価値をもたらします。
それは、研究データの検索・共有・再利用を劇的に効率化し、研究者間のコラボレーションを促進し、そして何よりも重要な知的財産を安全に保護する、研究開発体制そのものの変革です。

その一方で、現場では「電子実験ノートを活用することで、かえって業務負荷が増えるのでは」という懸念を抱いている研究者が多いこともまた事実です。電子実験ノートを導入しても、これからも紙にはメモを取ることもあり、その内容をわざわざ電子実験ノートに「清書」するのは大変です。それならばいっそのこと「これからも紙の実験ノートを使い続けたい」と思ってしまうのも自然なことです。

以上から、これまでの紙の実験ノートの記録方法に寄り添いつつ、検索も電子的に可能にするハイブリット型の「ゆるやかな研究DX」を目指した、革新的な電子実験ノートが求められています。今回ご紹介した比較表や選定ポイントが、貴組織にとって最適な電子実験ノートを見つける一助となれば幸いです。
まずは気になる製品の資料請求やデモを試し、その機能性や操作性を実際に体感することから始めてみてはいかがでしょうか。

紙ノートの自由さとデジタルの利便性を両立「Jikken Note」

紙ノートの手書き文化を尊重しつつ、デジタルでの検索性・共有性・再現性を高めた国産ELN。
実験フローに沿った記録スタイルをそのままに、研究現場での定着率も高い“ハイブリッド型”設計が特長です。

主な特徴

  • スキャンした手書き文字も検索できるOCR機能(精度90%)
  • mol→g換算や試薬テンプレートなど、化学研究を効率化
  • コメント・タグ機能で研究チーム内の共有を支援
  • リスクアセスメント管理など、安全性にも配慮した構造
  • タイムスタンプ・アクセス権限による記録の改ざん防止

紙文化を活かしながら研究記録を効率化したい方へ。
まずは無料トライアルや資料請求から、お気軽にお問い合わせください。

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