電子実験ノート「Jikken Note」開発者・高野泰朋(Ph.D.)|プロフィールと開発ストーリー
研究の“苦しさ”から生まれた起業の原点
電子実験ノート「Jikken Note」の開発者である高野泰朋(たかの・やすとも/Ph.D.)は、かつて自らが経験した“研究の苦しさ”を出発点に、研究者支援の道を歩み始めました。
博士課程時代、1週間で1000本の論文を読まなければならなかった高野は、現実逃避ののち、1日200本のペースでひたすら読み続けるという過酷な経験を経て、「誰かが代わりにやってくれたら…」と心底願ったそうです。
このとき生まれたのが、後の「Paper Digest」。論文の自動要約ツールとして、公開後すぐに世界中の研究者に受け入れられ、最終的には190カ国以上、100万人以上に利用されるプロダクトへと成長しました。
現場の声からスタートしたプロダクトたち
高野の開発スタイルは一貫しています。「自分ごと」から始まり、次に「現場の声」へ向かうということ。
コロナ禍をきっかけに研究室での業務がリモート化されたとき、「誰が、何を、どこまで進めているのか分からない」といった声が多くの研究現場から寄せられました。
その声に応えて開発されたのが、研究マネジメントツール「Logcarry」です。JST GTIE GAPファンドをはじめ、複数の大学や研究室に導入され、研究の進捗可視化を支援しました。
Jikken Note開発ストーリー
そして、Logcarryを通じたご縁から、新たな課題が見えてきました。それが、「実験ノート問題」でした。
- 紙に書いても探せない
- 誰が書いたのかわからない
- リスクアセスメントの管理も大変
この問題を解決すべく、高野は生物・化学分野のノート文化をゼロから学び直し、インタビューと検証を重ねて構想を形にしていきました。
「門外漢だったからこそ見えたことがある」──
その視点から生まれたのが、紙と電子の“いいとこ取り”を実現したハイブリッド型の電子実験ノート「Jikken Note」です。
開発者としての信念
研究者を、もっとジユウに。
高野が掲げるこのミッションには、研究者自身が創造性に集中できる環境を取り戻してほしいという想いが込められています。
煩雑な作業に縛られるのではなく、本来の「考える」「創る」ことに時間を使ってほしい──。
高野のプロダクトは、そうした想いに根ざしています。
略歴・専門・受賞歴(抜粋)
- 博士(技術経営)/東京工業大学
- 専門:電気電子、計量書誌学、技術経営(MOT)
- はやぶさ2アンテナ開発に関与
- 世界的学術出版社Nature系コンペ優勝(非欧米圏初)
- 東大IPC 1stRound、FoundX、三菱UFJ技術育成財団など多数の支援採択
- 詳しい登壇・メディア掲載実績は 運営会社ページ をご参照ください